カーテンはドレープだけではない、昼間の主役はレースカーテン
従来のドレープカーテンとレースカーテンは主役と脇役のような関係でした。
レースカーテンの役目は、主にドレープカーテンを開けたときの目隠しですが、透明感のあるレースは窓空間を軽やかに飾ってくれます。
ドレープカーテンは生地の種類も多く、ウインドウトリートメントとしては常に主役となっていますが、昼間ずっと見ているレースカーテンもこだわりを持って選んでみませんか?
定番のレースカーテンからこだわりのレースカーテンまで、知っておきたいポイントをご紹介します。
レースカーテンの生地の種類
「レース」はレース機などで編まれた透かし模様の生地です。透明感のある薄手のカーテンの総称として一般的にはレースカーテンと呼ばれていますが、インテリア用語では「シアーカーテン」と言い、編物であるレースだけではなくいろいろな製法でつくられた透過性のある生地のカーテンを指します。
ボイルやオーガンジー
レースのような編物ではなく、透過性のある薄手の織物です。最近ではボイルに柄を織り込んで陰影を楽しむ中薄地のカーテンをトランスペアレント(透明な)やハーフトランスペアレンツ(半透明な)と呼び、ファブリックのトレンドとなっています。
ラッセルレース
経編みのラッセルレース編み機で編まれた総柄のレース地です。さまざまな模様を編むことができ、美しい透かし模様で光を効果的に演出します。
インナーやウェディングドレスに多用され、凹凸の少ない平らな仕上がりが特長です。
エンブロイダリー
エンブロイダリー刺繍機で布に刺繍を施した生地です。
刺繍部分の生地を溶解することで、刺繍糸だけが残る透かし模様をつくることができます。
綿レースはエンブロイダリー刺繍の代表的な生地ですが、カーテンに於いては裾にエンブロイダリー刺繍が施されたカフェロールなど、継ぎ目のないヨコ使いの生地に使われることが多いです。
ケースメント
2本のタテ糸を捩りながら、ヨコ糸を絡ませて織る絡み織をケースメントと言います。レースより厚く、目隠し効果も高いカーテンになります。ドレープカーテンを使わずに1枚づかいも可能で、和室との相性も良いです。
オパールプリント
薄手の生地にプリントしたものの中でも、オパール加工は特殊な液で染めた部分を溶かし、透ける部分と透けない部分を表現した生地です。ブラウスなどの衣類にも使われ、多彩な柄と色、透け感の度合いも幅広い、デザイン性の高いカーテンです。
機能性レースカーテンの種類
さまざまな機能性レースカーテンがありますが、付加された機能により、透過性やデザイン性が低くなる場合もあります。
機能性カーテンは、デザイン性とのバランスを考えながら、必要な場所に必要な機能を選ぶようにすると良いでしょう。
ミラーレース
ミラーレースとは光を乱反射させ、昼間の明るい時間は室内からは外が見え、外からは見えにくくするカーテンです。
しかし照明のついた夜は外から見えてしまうので注意が必要です。
ウェーブロン
ウェーブロンカーテンという名で販売されているものは、帝人ファイバーが開発した特殊ポリエステル糸「ウェーブロン」でつくられたカーテンです。ウェーブロンは防透性があり、昼間は光を取り入れつつ外からの視線を遮り、夜間も照明のついた室内を見えにくくする新機能繊維です。
遮熱レース
遮熱カーテンはドレープにもありますが、レースカーテンに遮熱効果を持たせることで、昼間にドレープカーテンを閉めることなく、近赤外線を遮る役目をしてくれます。
遮熱効果により室内の温度上昇を抑え、冷房効果を高める機能性カーテンです。
防炎レースカーテン
消防法で定められた防炎性能のあるカーテンです。地上31m(およそ11階建)以上の建築物では、防炎カーテンの使用が義務付けられています。対象の高層マンションでは、高層階に限らず低層階でも防炎カーテンを使用しなければなりません。
関連:防炎カーテンの正しい選び方。義務付けられている建物や洗濯時の確認事項。
遮音レースカーテン
生地の表面に樹脂コーティングを施し、複層に仕立てた遮音カーテンは特に高音域の音を遮るカーテンです。ペットの鳴き声や、ピアノの音など、外に音を漏らしたくない場合や、外の騒音が気になるときに活躍します。
その他の機能
日本ファブリックス協会では商標登録した機能性表示マークがあり、一定の基準で各性能試験を行い、条件をクリアしたものにマークを表示することができます。
静電気が起きにくい性能を表す「制電マーク」、水をはじきやすい防水効果のある「はっ水マーク」、家庭用洗濯機で丸洗い可能な「ウォッシャブルマーク」などがあります。
レースカーテンを主役にするコーディネート術
カーテンを選ぶときは、ついドレープカーテンをメインに考えてしまいますが、ドレープとレースを上手にコーディネートすることで、窓空間がさらにドレスアップします。
レースカーテンを主役にするコーディネート術をご紹介しましょう。
ドレープカーテン+レースのプレーンシェード
ドレープとレースは必ずしも同じスタイルでなくてもいいのです。ドレープカーテンにレースのプレーンシェードをコーディネートすると、窓空間がスタイリッシュに引き締まります。
ドレープカーテンが柄物であれば、レースプレーンシェードはシンプルにすることがポイント。柄のないボイルレースがおすすめです。
ドレープカーテンが無地なら、シェードはプリントレースやカラーレースで存在感を主張しましょう。
出入りの多いテラス窓では、反対に厚地カーテンをシェードにしてもいいですね。レースカーテンは裾に刺繍を施したエンブロイダリーにすると、シェードを半分だけ上げたときに、刺繍部分が見えてエレガントな窓際を演出します。
常識を覆すフロントレーススタイル
ドレープカーテンと合わせて掛けるとき、なぜいつもレースは奥側なのでしょう?
ドレープを奥に掛けてレースカーテンを主役にするフロントレーススタイルが、新しい窓空間をつくります。
奥のドレープカーテンを無地にして、主役のレースカーテンはオパール加工の思い切った柄をチョイスしましょう!
レースカーテンの柄がドレープに美しく浮き上がります。ドレープの色は、レースカーテンで和らぐので、イメージより濃いトーンを選ぶことがポイントです。同じ柄のレースでも、合わせるドレープカーテンの色でお部屋の雰囲気も変わります。
もうひとつのポイントは、レースカーテンの幅です。ヒダを寄せ過ぎると、せっかくの柄が見えなくなってしまいます。フラット気味に1.2倍巾が程よいウェーブで、柄を美しく見せてくれるでしょう。また裾の始末もウェイトロック仕上げなら、柄が折り重なることもありません。
床に映る模様を楽しむハーフトランスペアレンツ
ハーフトランスペアレンツの柄部分と透明な部分は、窓から差し込む光によって床に模様を映し出します。光と影を利用した、現在最もトレンドのウインドウトリートメントです。
レースカーテンは白にこだわらず、有彩色も取り入れるとお部屋がほんのりと色付いて、個性的な空間になります。
ドレープカーテンをシンプルなダークトーンにすると、レースカーテンが引き立ちます。
レースカーテンにこだわって個性的な窓空間へ
窓装飾の脇役だったレースカーテンは、近年ではデザイン性がとても高くなり、カーテンスタイルや、ドレープカーテンとのコーディネート次第で主役にもなるアイテムになっています。
昼間の目隠し要素だけでなく、レースを飾ることにこだわり、ありきたりの窓から個性的な窓空間へ変化させましょう。