防炎カーテンの正しい選び方。義務付けられている建物や洗濯時の確認事項。

機能別

万一の火災に備えて火災報知機や消火器、スプリンクラーの設置など、室内においての対策はいろいろありますが、火が燃え移りやすいカーテンやカーペットなどのファブリック製品にも気を配るべきです。

住まいによって、防炎カーテンを義務付けられている場合があることはご存知ですか?

また防炎カーテンは間違えたお手入れで、その性能がなくなってしまうこともあります

そして防炎カーテンは「燃えないカーテン」ではなく「燃えにくいカーテン」です。その性能や正しいお手入れ方法を理解し、充分な効果を発揮させましょう。
ここでは防炎カーテンの種類と性能、お手入れするときの注意点について詳しく解説します。

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なぜカーテンに防炎性能が必要か

冬の乾燥した季節になると火事のニュースを頻繁に聞きます。死者が出るといたたまれない気持ちになると同時に、火の恐ろしさを痛感し家の火災対策を見直す機会にもなります。

建物火災での死者の内、9割が住宅内で亡くなっているそうです。深夜の就寝中に出火し、気付かずに逃げ遅れるケースがほとんどです。

タバコの消し忘れやストーブ、耐用年数を超過した古い電化製品、タコ足配線などの失火から、周辺のカーペットやカーテン、寝具などに二次着火します。こうした延焼が拡大して、気付いた時には逃げ場のない大きな火災となってしまうのです。

住宅火災は火元周辺から徐々に延焼拡大していきますが、近年の機密性の高い住宅では、ある時点を超えると一瞬にして部屋全体に燃え広がる現象が起きます。この現象はフラッシュオーバーと呼ばれ、天井に火がまわると起こりやすいと言われています。フラッシュオーバーが起こる前に、火災の初期段階で気付くような対策を取ることが命を守ることにつながります。

カーテンは天井に近い高さまであるので、燃え移ると一気に天井まで炎が上がり、フラッシュオーバーを早めてしまう原因になります。火災が起きた時に重要なことは、いかに初期段階で炎上を抑制するかです。カーテンが燃えにくければ、延焼拡大やフラッシュオーバー現象を遅らせることになり、初期消火が可能になります

こうしたことから火災対策には、防炎性能のあるカーテンがとても有効的なのです。

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防炎カーテンとは?

防炎カーテンとして販売されているものは、日本防炎協会の認定を受けたもので、その証に「防炎マーク」が付与されています。燃えない「不燃」ではなく、燃え広がりにくい「防炎」であることを忘れてはなりません。

防炎カーテンには2種類あります。「防炎加工されたもの」「難燃糸素材で織られたもの」です。

防炎加工

通常のカーテン生地を、難炎液に浸してコーティングしたものです。後加工となるので、既存のカーテンを防炎加工専門業者で防炎加工してもらうことが可能です。ただし加工できる素材は、基本的に綿などの天然素材とポリエステルです。

さまざまな機関で行われている燃焼比較実験の結果

素材 未加工 加工後
綿 着火後すぐに燃え上がる 焦げるだけでなかなか燃え広がらない
ポリエステル 溶けながら燃え広がる 溶けるだけでなかなか燃え広がらない

ナイロンやアセテート、また綿やポリエステルでも後染めされた生地や、撥水加工など表面がコーティングされていて防炎液が浸透しない素材には防炎加工ができない場合もあります。
メーカー品であれば、防炎加工が可能かどうかを問い合わせてみることをおすすめします。

難燃糸素材

生地になってから防炎加工するのに対し、糸の段階で難炎材を入れ、防炎性能を高めてからカーテン生地を織ったものです。

近年ドイツのトレビラ社で開発された難燃ポリエステル糸「トレビラCS」は、火を遠ざけると自己消化するという、世界で最も高い難燃性をもつ繊維です。洗濯にも強く、燃えたときに発生する有害ガスの発生が少ないことも高い評価を得ています。

多くのファブリックメーカーで採用され、その証に「トレビラCS」マークが付与されています。

トレビラCSについて
ドイツ・ヘキスト社が開発する難燃ポリエステル糸。
素材そのものが難燃性能を持っているポリエステル繊維で、
水洗い、ドライクリーニングを行っても、防炎性能を維持することができる。
安全性が極めて高く有害ガスの発生がほとんどない。
耐久性に優れており、防炎“イ”ラベル取得可能商品なので、高層マンションやコントラクト物件にも適している。
出典:MANAS TEX

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防炎カーテンが義務付けられている場所

公共の建築物など不特定多数の人が出入りする場所では、消防法で定められている防炎物品の使用が義務付けられています。

防炎物品とは防炎性能基準の条件を満たしたもので、カーテンや暗幕、布製ブラインド、絨毯などがあり、防炎物品であることを表示させなければなりません。

防炎カーテンの使用が義務付けられている主な場所

  • 高さ31mを超える建築物、地下街
  • 映画館や劇場、公会堂、集会場
  • 遊技場やダンスホール
  • レストランなどの飲食店
  • 百貨店など物品販売をしている店舗
  • 旅館やホテルなどの宿泊施設
  • 病院や老人福祉施設、身体障害者施設など
  • 幼稚園、盲学校、養護学校など
  • 映画スタジオやテレビスタジオ

高さ31mはおよそ11階建てです。つまり11階建て以上の高層マンションでは防炎カーテンを使用しなければなりません。

ここで注意したいことは、対象になる高層マンションでは、11階以上の部屋だけでなく1階の部屋でも使用義務があるということです。高層建築物では、消火活動や避難が困難なことから、建物内に火災が広がることをできる限り遅らせるための対策なのです。

また窓などの開口部に使用するカーテンだけでなく、部屋を仕切る間仕切りカーテンやベッドを囲うカーテン、布製のパーテーションなども防炎カーテンに属し、防炎性能が必要になります。

防炎ラベル

防炎性能基準試験をクリアしたものは、消防庁認定の防炎ラベルをつけることができ、防炎物品を義務付けられている施設などでの証明になります。

また、防炎カーテンを販売する際にはラベルをつけなければいけない決まりになっています。

防炎ラベルは見えやすい場所に、カーテン1枚につきラベル1枚を縫い付け、またはちょう付されています。カーテンを仕立てる前の原反には下げ札の形でつけられています。

反対に言えば、試験の条件を満たしていないものは防炎ラベルをつけることはできないので、防炎カーテンを購入するときはラベルを確認することが大切です。独自規定などで防炎と謳われても困りますからね。

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防炎カーテンのお手入れ方法

カーテンはホコリなどで汚れるので、定期的に洗濯したいですね。ウォッシャブルやドライクリーニング指定など、カーテン生地によって洗濯方法はまちまちです。

そこで心配なのが、洗濯後の防炎性能です。水洗いしたりドライクリーニングで性能が落ちてしまうことはあるのでしょうか。

防炎カーテンは洗濯によって防炎性能が失われないかを試すために、カーテンを一定の条件で洗濯をしてから燃焼試験を行っています。
試験結果から耐洗濯性能の基準を4つに分類し、基準に適合しなかった洗濯方法は防炎再加工の必要があることを防炎ラベルに表記しています。

耐洗濯性能の基準を4つに分類
水洗い洗濯、ドライクリーニングの両方に適合 再加工の必要はなく、防炎ラベルにも再加工要否の表記はありません。
水洗い洗濯のみ適合 水洗いは可。ドライクリーニングした場合は再加工が必要です。
ドライクリーニングのみ適合 ドライクリーニングは可。水洗いをした場合は再加工が必要です。
洗濯後は再加工が必要 水洗いまたはドライクリーニングをしたら再加工が必要です。

防炎カーテンのお手入れで大切なことは、洗濯表示をよく確認することです。せっかくの防炎効果がなくなってしまったら、防炎カーテンの意味がなくなってしまいます。再加工が必要になったら防炎加工専門業者に依頼しましょう。

戸建住宅や低層住宅にもおすすめしたい防炎カーテン

カーテンはインテリアにとって装飾性の要素が大きいですが、火災時には延焼を拡大させてしまうものでもあります。

防炎カーテンは燃え広がることを5分、10分と遅らせて、逃げる時間をつくってくれます。

防炎物品を義務付けられた高層マンションだけでなく、戸建住宅や低層住宅でも防炎カーテンで火災対策をすることをおすすめします。

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